刀語 第十二話「炎刀・銃」

1年にわたった旅の終着。
永訣の場面の「ちぇりお」の話は、踊山以来。
死に瀕して、先ず「ちぇりお」のことが、口を突いて出たのは、
それだけ深いところに、刺さったままの棘だったのかなと。


涙を流す七花と、流さずのとがめ。
過去に彼女が涙した場面を振り返ると、
亡父の言葉を思い出した時、そして、
「ちぇりお」の誤用を指摘された時などが、思い起こされ。
それだけ、彼女にとっては、重いことだったんだなと。


とがめによって明らかにされた「駒」の話もまた、少なからぬ衝撃。
七花との思い出の1つ1つも、すべては「駒」、
旅を通じ垣間見えた、成長や変化もすべて「駒」?


復讐という目的を果たすため、
「駒」で、全てを律しようとしたとがめだったけれども、
例えば第九話で、七花と慚愧のことを早合点して駆け出したあと、
溢れる涙に戸惑う場面などを見ると、
「駒」だけでは、括れない気持ちも育っていたのかなと。


第五話のエンディングテーマ、
「愛と誠」を、いま改めて振り返ってみると、
とがめの心の揺らぎが、より強く感じられ(;_;)




尾張城に侵入した七花。 纏っていたのは、
血に染まったとがめの着物だと思うのだけれど、
しかし、どう見ても戦闘には不向きなそれを、
あえて着込んで臨んだというのは、
とがめを弔いつつも、
自らの死をより確実にするためでもあったのかなと。


11人衆との戦い。
変体刀を、躊躇なく、次々と破壊していく七花。
1年かけて集めた刀は、ある意味、
とがめとの思い出の1つ1つであり、
刀の形をした「駒」の残骸でもあり。


これまでと別人のような七花が、
右衛門左衛門との会話の中で、とがめのことを思い、語る間は、
以前の七花がほんの少し、覗いてみえたようにも感じられ、
なんというか、ちょっとホッとしたというか。


そして、最終決戦。
七花の瞼に浮かぶとがめの姿。
いざ、尋常に――のくだりで、、
あたいの涙腺崩壊したお(;_;)


満身創痍の七花だったけれど、
腰に提げたとがめの遺髪は、白いまま。
あれだけの血煙舞う死闘の中、まさか、
遺髪をかばいながら、立ち回っていたとか?Σ(゚д゚;)
だとしたらそれも、より死へと近づくために、
自らに課した縛りだったのやも。


天守閣で対面した将軍が、七花に持ちかけた
「天下が欲しくはないか?」は、
奇しくも、第一話でとがめが、
七花に持ちかけたのと同じ言葉。
それだけに、七花の心を逆撫でし、
あれほどの破壊をもたらしたのやも。。


エンディング・テーマ「時すでに始まりを刻む」に合わせ、
次々現れる、これまでの舞台。
不承島で姉弟の暮らした庵も、完全な廃屋になっていて悲し。
でも、三途神社で、こなゆきたんが
元気そうにしているのが見られてよかった。
不要湖には、1本だけ花のついた木があったような、、
そして、心王一鞘流の道場にも門下生の姿があったりと、
無人と化し、朽ちていく場所と、
そうでない場所とが対照的。


エピローグ。
尾張の屋敷で、座して動かずの印象の強かった否定姫が、
一転、七花を追っての諸国行脚。地図づくりの旅。
七花にとっては「好き」だった、
否定姫にとっては「嫌いじゃなく……なくもなかった」だった、
とがめという存在を失った者同士。


七花の出で立ちは、最後の戦いに臨んだときと同じだったけれど、
風呂敷包みは、今や彼ひとり分の荷物。
とがめと旅をしていた頃との差が(;_;)


七花の腰には、とがめの遺髪がそのままに。
否定姫は、右衛門左衛門の仮面を頭に載せ。
彼女もまた、これまでの立場ではできなかったことを、、
全部終わったら、右衛門左衛門としたかったことを、
その形見とともに、果たそうとしているのか、
あるいは探している途中なのか、と妄想。




たくさんの命が散りながらも、歴史の改竄は行われず、
幕府はそのまま、太平の世は続き。
いくつもの夢が叶わぬまま閉じた物語は、
しかし各人が各様に、夢や希望を抱き、
それに向かって、真っ直ぐ生きた、
前向きな物語だったとも。


そんな夢や希望を集積しながら、
歴史は、現在まで巡り、そしてこれから先もつながっていくのかなあと、
「夢と希望に満ちあふれた、未来を予感させる、前向きな物語」
を解釈したお(((o(*゚▽゚*)o)))


1年に及んだ刀集めの旅。
1ヶ月に1回×12回。しかも、1本が1時間という
これまでにない放送形態だったけれど、
作中の時間経過にも沿う形で、
自分も、七花やとがめたちと共に
旅をしているような気持ちで、
物語の世界に入っていくことができました。


楽しみだった月毎の放送、二人の旅路も、
終着を迎え、とても淋しい限りですが、
折に触れて、見返しては、
二人とともに、また旅に出てみたい、
そんな作品に出会えて、嬉しかったですお。
本当にありがとうございました(*´ω`*)


そして、「あとがたり」にあった、“劇○版”、
実現の暁には、必ず見に行きます!!!(^^;
ちぇりおっ!