「葉っぱのフレディ - いのちの旅 -」をチェック


死生観を、葉の芽吹きや、落葉になぞらえ、
情感豊かに描かれたCDドラマ。
重たくなりがちなテーマが
ゆっくり静かに心に染みわたっていきます。


本作品は、原作を元にしたドラマパートと、
原作の朗読パート、そして、出演者の方々による
コメントの三部構成となっています。


頭から順番に聴いてももちろん、
原作を未読でしたら、先に朗読を
聴いてからでも、楽しめる作りになっていると思います。


ただ、最後のキャストトークは...
いったん時間をおいてから、
別個に聴いた方がいいかも?しれません(^^;
作品の世界に浸って、ほろほろ〜となっているところに、
そのまま続けて聴くと、ある種のギャップに
面食らう場合があるやも、ないやも?w


...それはさておき、ドラマパートですが、
原作の風合いを損ねることなく、
素敵なアレンジが施されていると思いますー
原作では、親友のダニエルのようには、
おしゃべりする機会に恵まれなかったフレディの友人、
ルフレッド、ベン、クレアたちにも、
それぞれキャラクター付けがなされていて、
より血肉の通った、存在感のある葉っぱになっています。


ゆかりんの演じられたクレアという役は、
フレディよりも1日だけ早く生まれた、年上の女の子。
ちょっとだけ背伸びをして、
ツンと済ました感じのお嬢さん、
といった第一印象――


――だっただけに、「引っ越し」を前に
不安や恐怖にさいなまれ、
か弱い部分を垣間見せる場面は、
より対照的に際だって、心に残りました。


原作では、どちらかといえば、
淡々とした流れの中で過ぎて行く感のあった別れの場面が、
文字通りドラマティックなものになっていて
何度聴いても、ほろっとしてしまいます(;_;)
その一方、ラストシーンにかけての展開に加味された演出に、
希望や暖かみ、救いも感じられてよかったのです。


――ただ、フレディとその仲間たち、
彼らの出会いは、あの時あの一年、
ただ一度きりのもの。
再び春を迎え、芽吹いた葉っぱたちとは、
全く異なる存在なわけで、、、
やはり、一抹の寂しさも拭えませんーー(/_;)


連綿と継承されていく命、とともに、
同じ出会いは、二度とは無いということも
そっと描かれているような気がして、
切ない気持ちに包まれるのでした。




すっかり、お引っ越しの済んだモミジ――まるで、オロチのようね(^^;


美しく紅葉や黄葉した木も良いものですが
葉が散ったあとの、
枝や幹が露わになった木も好きー
そこには、死というより、むしろ、
むき出しになった
命の存在をひしひしと感じるのです。


――フレディが最期に見上げた木は、
どんな姿をしていたのでしょうね?




...以下、余談。
登場する葉っぱたちのイニシャル
Alfred,Ben,Clare,Daniel
までは、ABCDが順番に割り振られているのに、
なんで、Freddieは、Eddieじゃないのかなって気になりました。
Eの葉っぱが存在しないことに、
何らかの意味が込められていたりするのかしら?
たとえば、生きたくても生きられなかった存在の暗喩とか?
ーーなどなど、本当にいろいろなことを
考えさせてくれる作品なのでした。