刀語 第九話「王刀・鋸」

■第九話の対戦相手、十二代目・汽口慚愧。
真人間すぎて、逆に人間らしからぬ存在。
一方の七花もまた、長い間、
人間らしからぬ刀として生きてきた存在。
そして、二人とも、忘れ去られた流派の
当主を継承したばかりであったり、
と、どこか相通じる感じも。


■大乱が終わった太平の世だからこそ、慚愧のような
「己が不利になれても、相手が不利になるのは許せない」
という性格の人間も生きられるのかも。。
しかし、それは同時に、自らの流派が
平和な時代にそぐわず、消えゆく運命に
あるかも知れず、ということでもあったり。


■あるいは、その生真面目さが、
虚刀流に対して、武器や防具を強要するという、
「不利」な勝負につながっていたという皮肉も。
――七花と慚愧、互いに対戦相手でありながら、
門下生と師匠でもあるという奇妙な関係の十日間。
これもまた、慚愧のその性格から生じたもの。


本来、剣を持たぬ虚刀流が、剣を使っての修行。
抵抗がありつつも、楽しそうな七花。
対戦相手なのに、厳しい手ほどきをしてくれる
慚愧の真摯な姿勢が、よほど嬉しかったのかも。


父・六枝以外から、剣術の手ほどきを受けるのは初めてだったろうし、
七花にとっても、新鮮なことだらけで、
とがめのヤキモチにも、気づく暇もなかったのかしら、と。


進歩はしていないというけれど、
素振りをしてもすっぽ抜けなくなってるし。
虚刀流も、やればできるじゃん☆
というか、もし仮にあのまま修行を続けていたら、
無刀と、有刀を使いこなす
ハイブリッド剣士が生まれていたかもε-(゚∀゚*)


■一方のとがめは、心穏やかならず。
道場へ足を運ぶ度に、
誤解を招くようなシチュエーションが多発(^^;
想像力豊かな、とがめフィルタを通して見る、
七花と慚愧の世界に、ドッキドキ(/∇\*)


■今回は、奇策を思いつくにも
時間がかかってしまったとがめ。
やはり、七花の道場通い、
慚愧との稽古に、集中を殺がれたのやも?


無刀の剣士が、武器防具を使用して、
勝利を収めなければならないという難題。
果たして、どんな奇策が飛び出すのか最後までwktk


それにつけても、今回のとがめの
感情の弾けぶりや、表情の豊かさ(*´ω`*)
七花の成長とともに、旅を通じて、
とがめもいろいろ変わってきているのだなあと。


これまでのとがめなら、自分の立てた奇策の穴を
「ヤバイ」なんて指摘されたら、「ならばよい」なんて言わず、
むしろ、怒るとか、ちぇりおーとか、言ってそう(^^;


それが今回は、奇策より、まず七花が重要な関心事になっていた感じ。
最初はあくまで、刀集めという目的を
果たすために必要な、手段・道具だったはず。
もはや、とがめにとっても、七花はただの刀では
なくなっているということかしら、と。


■慚愧との対戦。 最初の将棋九局勝負、
その星取りのコントロールから、すでに、
とがめの奇策は始まっていたとはε-(゚∀゚*)
逆に、慚愧にとっては、将棋好きが仇となった格好に。。


七花と慚愧、剣術対戦前のやりとりもすがすがし。
いつもの決め台詞も、若干控えめ?で――そして、
「静かで、あっけなく、地味な決着」が訪れ――


今回のとがめの奇策は、心理戦。
ずるいといえば、ずるいかもしれないけれど、
相手の手の内を、完全に読み切っていなければ、
ただの当てずっぽうになって、
慚愧の心を乱すことにはならないわけで。
とがめは、奇策師としてのみならず、棋士としても
相当の実力の持ち主なのですね。


■慚愧をして、「道場の看板であり、自身の証明」
とまで言わしめた、王刀・鋸。
それを自ら手放す決意。
そこから、あの「看板娘」への変わりよう――。
刀を手放すことで、
変体刀の持つ「毒」、、、ではなくて、
今回の場合、「毒気のなさ」から解放されて、
ある意味、本来の姿に戻ったのかなと思ったり。
王刀とともに道場を継ぐ前、将棋にのめり込んでいた頃の慚愧は、
あの看板娘のイメージに近かったのやも?


王刀は手放すことになったけれど。
刀集めに彼女のもとを訪れたのが、とがめと七花でよかったお。。
もし先に、まにわにや、右衛門左衛門や、あるいは、
お姉ちゃんが来ていたらと思うと、、、((( ゚д゚;)))


■これからは、真面目過ぎが敬遠されて、
門下生がいなくなってしまうようなこともなくなって、
いつか、とがめと七花が、道場を再訪するようなことがあったら、
きっとその時には、見違えるような活況を呈していたらいいな、と (*´ω`*)




■一方、ラブコメテイストで展開していた本編の裏側では、
真庭忍軍と否定姫、2つの勢力がぶつかり合い。


右衛門左衛門が否定姫の命を受け、鳳凰の暗殺の任。
しかし、割って入ったのは、鴛鴦。
刀集めという目的遂行のために、
誰が最後まで残るべきかを考えると、
海亀の次は、自分という覚悟は、
以前からできていたのかなと思ったり。


婚約者の蝶々を失った悲憤や私怨めいたことは、
最後まで、一切口に出さず、
真庭忍軍の一人としての役割を全うした
その生き方は強くて凄かったお、、(/_;)


最期に、蝶々さんと再会できたのが、せめてもの救い。。


■残る刀は3本。
刀集めに苦戦していたまにわにが
非常に危険な感じする、一振りを今回入手。
そして、否定姫の元にも、
物騒きわまりない「銃」があって、
実質的にはあと1本?
この3すくみ状況が、
はたして、どのような結末をむかえるのか、
気になるのであります。


■次の目的地は、奥州。
とがめの故郷。およそ20年ぶりの里帰り。
第一話冒頭に出てきた、
あの燃え盛るお城があった場所ですよね。
今はどうなっているのか。。
物語もいよいよ佳境。
何がおこるのか、何が待っているのか、
ドキドキなのであります。